愛妻の目ほど恐いものがこの世にあるだろうか。違反はしていないのに、パトカーを見た時と同じ位である。
夫婦げんかの際の、妻の目つき程恐いものがこの世にはあるだろうか。あの、怒りに満ちあふれた目。あるいは軽蔑のまなざし。どれをとっても、一瞬にして亭主の背筋が凍りつくのだ(笑)。しかもマシンガンのように口から出てくる罵詈雑言がセットになっているから、決して勝てるはずもない(笑)。 その為、畏敬の念を込め、家内とは呼ばず、〃お〃を付け、〃おっ家内〃と呼び、おかみさんにも〃お〃を付け、〃おおかみさん〃と呼ぶ会員がいるほどである(笑)。もし、愛妻と一日中、目を合わせないで済む、ノウハウ本があるなら飛ぶように売れることだろう。私も絶対に買う(笑)。 何らやましいことはないのに、どうして、あんなに恐いのだろうかと、常々疑問に思っていたが、その答えが出た偶然の出来事があったのだ。 それは、免許更新の時のことだった。私は誕生日をとっくに過ぎており、講習を受けるはめになった。時間待ちが長い為に、どうしようかと、途方に暮れていたところ、向こうから、どこか見たような女性が歩いてくる。偶然とは何と恐ろしいものであろうか。それは紛れもなく、おっ家内、いや愛妻であった。私は思わず、後ろを振り向き、見つかりたくないと、身を隠したのであった。彼女はゴールド免許の為、すんなりと更新を済ませ、出て行かれたのであったが、なぜか、「ホッ」と胸をなで下ろしたものだ。 その時分かった。愛妻の目は、パトカーの赤色灯のようなもので、当方としては何も悪いことはしていないのだが、思わずドキッとするような、そんなものと確信した。なんのこっちゃ。
ところがその夜、家に帰って、開口一番、「何でコソコソしてんのよ」と、こっぴどく叱られてしまった。やっぱり見つかっていたのだった。もうお分かりであろう。一度ならず、二度恐いのである。あの時、何故声をかけてくれなかったのだろうか。しかも、私は何故、身を隠したのだろうか。 その瞬間、意識が朦朧としていたようで、今でもわからない。誰か教えてください(笑)。
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